工房だより その1
〜 枝について 〜


このページでは、イス作りや木工への思いなど、
様々なことをお伝えしていこうと思っています。

◎ トップページへ戻る




私のイス作りに欠かせないのがケヤキの枝です。
ケヤキの木は広葉樹で高さは20メートル以上にもなります。
夏には涼しげな木陰を、秋には美しい紅葉を見せてくれます。
街路樹として使われ、よく“ケヤキ通り”と名前が付いているのを
見聞きするかと思います。
私がケヤキの木を使うのは、木の枝の直線や曲がりが程よく、
また小枝にも小さな木の芽があり表情豊かなこと、
またケヤキの木は固く、細かい枝でもしっかりとしており、
私の作品作りにぴったり合っているからです。
座面に使う板材は材木店やDIYショップ、
またネットでも入手することができます。
でも枝は市場には流通していません。
だからと言って、並木通りや公園のケヤキの枝を勝手に切ることもできません。
そこで当たり前のことながら持ち主にお願いして分けて頂くことになります。
またケヤキの枝であれば何でも良いという訳でもありません。
枝落としされて土の上に放置された枝は、
腐敗が始まっているため使うことはできませんので、
枝落しされた直後の枝を見つける必要があります。
しかも冬場に枝落しされたものが必要です。
というのは冬場は木の成長活動が止まっているため、
枝の水分が最も低く、乾燥させてもひび割れがないからです。
入手した枝は作品に使う前に、半年から1年以上乾燥させます。
家の中の1室を枝部屋として使い、ここでじっくり乾燥させます。
冬場に伐採された枝には切り口にひび割れが起きません。
このように作品に使う枝は良く養生させて使っています。
木の枝がすべて作品に使えると良いのですが、やはり作品向きの枝ぶりというのがあり、
適切な曲がり、太さ、枝分かれの具合など、一つ一つの作品毎に、
たくさんの枝の中から選んで使っています。
また、作品の大きさも様々ですので、使う枝も爪楊枝程度のものから、
直径が数センチの太さの枝が必要です。
端材と思っても、別のイスに使えるかも知れないと考えると、
なかなか捨てることができません。
一度採取すると、2,3年分のストックはできるのですが、
今年はそろそろ入手しなくてはと思っています。

◎ 工房だより 3(工具編)を見る
◎ 工房だより 2(座面の板編)を見る